(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]

甘やかされてる…

もう…と、言いながらも彼の好意に甘えているのだった。

洗面所から出ると、いい匂いに慌てて、ばたばたとキッチンに向かえば、晶斗が私のエプロンをつけて立っていた。

「ごめん、お腹が空く時間だよね。先に作ればよかった。気がつかなくてごめんなさい」

苦笑しながら、私の頬を抓る晶斗。

「ごめんは無し。夫婦なんだから、できる方がすればいい。ほら、もうできてるから椅子に座って待ってろって」

背後から私の両肩を掴み、椅子まで背を押すように歩かされた。

「私も手伝う」って声は聞き流されて、否応なしに椅子に座らされたテーブルの上には、朝食がほぼ出来上がっている状態に悔しくなるのだった。

目の前には、綺麗な黄色をしたふわふわのオムレツに、トマト、ほうれん草のソテーが添えてあり、野菜たっぷりのコンソメスープが並べられる。

そして、トースターが鳴り、こんがりとした食パンを2枚分食べやすく4等分にカットして出てきた。

朝から、豪勢な食事をささっと作ってしまう彼は、器用なのだろう。

「わぁ、美味しそう…ありがとう晶斗」

「どういたしまして…さぁ、食べよう」
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