(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]
そのくせ、してくれなければ、それはそれで、してくれてもいいのにと思う。
兎に角、私を甘やかして、なんでも先にしてしまう晶斗に、何とも言えないストレスが増えていく。
「もう、私の仕事なのに」
「んっ、なんか言ったか?」
掃除機の音で聞こえていなかった晶斗は、鼻歌を歌い、動かせる物全て動かし掃除機をかけていく姿に、『嫌味』『普段、私が手抜きしてるって言いたいの』沸々と、怒りが…お腹の大きな私を気遣う彼の優しさだと普段なら思えるのに、素直に喜べない。
ぷりぷりと頬を膨らませた私は、ハンディモップで掃除をしだした。
掃除機をかけ終わり、私が怒っていると察した彼は、背後から抱きついてきた。
「ノン…」
優しく、少し甘ったるい声
「…」
「また、怒らせることしたか?」
「してない…けど」
「けど?」
「掃除機かけてくれてありがとう…」
「どういたしまして…1人でするより2人でした方が効率いいだろ。普段は手伝いできない分、俺を使っていいんだからさ、1人でするより2人で終わらせて俺との時間過ごしてよ。休みの日は少しでも長く望愛と過ごしたい」
「ずるい…そう言われたら、私が怒ってたのバカみたいじゃない」
「やっぱり怒ってたんだな。なんで?」