卒業後もまた君と


なんなんだこの男は……!

押しのけようとしても、頭の後ろでがっちりホールドされていて不可能。
拳をぐーにして、意外にも分厚い胸板を何回か叩くと、ようやく唇が解放された。


「無意識?」

「なにがよ」


きっと下から見上げるように睨むと、また相手にしてないかのようにくくっと笑う。

何がムカつくって、こんなチャラいことをされてもなお、こいつのことが好きな自分がいること。

笑った顔が一番好き。
見ているこっちまで楽しくなるから。

たまに超ムカつくけどね。


「"まだ"好きって言ってないんでしょ?早く言ってよ」


ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた目の前の男は私が言った言葉を復唱して、そう催促する。

そこでようやく、私は自分の言った何気ない言葉の意味を理解した。


「ほら、はーやーくー」


私の気持ちが一緒であると確信しているこいつは、余裕のある表情で私に迫る。
どんどん顔が近くなっているのも絶対わざとだ。
うぅ……足を思いっきり踏みつけて逃げたい。



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