Dying music〜音楽を染め上げろ〜
あとはひたすら合わせる。
ボーカルの怜斗の状態を見ながら、ONボーカルとOFFボーカル交互にやる。6月にフェスで弾いたもの、文化祭で披露する曲も含め、何曲か弾きながら調整。
たまに見に来る長澤さんにも聞いてもらって講評をもらうって感じ。
特に、3曲目の「コックピット」は全員ほとんど弾けないから触りだけでも重点的にやっておく。
「調子どう?」
小休憩の時、涼に話しかける。
「まあまあだな。スネアがもうちょっと上手く安定すればいいんだけどね。」
1曲目のことか。難しいよねぇ、左手が大変そうだったもん。よくあんな動きできるよ。
涼に限っては初見の曲でもその場でリズム刻めるからすごいよ。
文化祭で披露する曲はどれもドラムが安定しないと形にならないものばかりだから、プレッシャーも多少あると思う。けど弱音を吐かないで練習している姿に脱帽する。
「すごいね。ドラム難しいのに。」
「そうか?夏樹も前に少しやってみたことあるって言ってたよな。」
「…お子様レベルだよ。」
あるっちゃあるけどさ、8ビートでくじけた。スピード上げられないし、手足バラバラに動かし続けるとか無理。
「なぁ、ちょっとやってみてよ。見たい!」
「えぇ〜嫌だよ、恥ずかしい。」
「いいからさ!」
涼に押されて急にドラムをすることに。マジで全然できないんだよ。
そう思いつつ、椅子に座ってスティックを構える。
わんつーッ!
♪〜ッ♩〜ッ!♬ーッ‼︎
久しぶりに叩いたけどやっぱりムズイ!
手足が…おぁっ
「もうダメ。手足分かんなくなる。」
「本当だ、まだまだ初心者レベル(笑)」
だから言っただろ。これじゃ、恥を晒しているものだ。…まぁたまに違う楽器演奏するのも気分転換になるから良いんだけど。
「あ、恭弥たち戻ってきた。再開するか。」