Dying music〜音楽を染め上げろ〜
そのとき体が引っ張られた。
「ふざっっけんじゃねえよッッ!!!」
恭弥が俺に掴みかかった。
その衝撃に耐えられず、後ろに倒れる。
がっしゃん!
派手な音を立て、側にあった椅子が転がる。
恭弥の聞いたことのない大声と乱暴な口調に全員が衝撃を受けた。
「手ぇ抜いてる?俺だってな、やれるものならとっくにやってるっての!!!!お前はいいよなぁ⁈ギターの天才だもんなぁっ⁈ガキの頃から音楽ができる環境が整ってて!全員がお前みたいに出来るわけじゃねえんだよっ!」
俺の襟元を掴みながらそう怒鳴ってきた。その言葉に腸が煮えくり返り、恭弥を掴みかえす。
「何が天才だッッ⁈こんな風になったのは練習して練習して、多くの時間をギターに費やしてきたからだ!挫折だって何度もしてる!それを、初めから完壁にできたように天才っていう言葉で片付けんなよ!」
俺だって最初からできたわけじゃない。練習してこうなったんだ。俺は天才じゃない。何度も挫けて、何度も這い上がってきた。これは、「努力」だ。
「じゃあ最近のギターはなんだよ⁈ミスってばっか、リズムはズレる!ほんとに練習してんのか⁈心の中で『俺はお前らとは違う』って思ってたんじゃねえのっ⁈⁈」
「お前にも同じこと言えるだろ⁈人見下してばっかり!大人ぶっても中身はガキのまんまだな!性格終わってんだろ!?」
イラつく、煽り散らかしてきやがってマジでウザい。そっちこそみんなとは違うっておもってるんじゃないのかよ。
マジで、クッソ、早く退けよ…ッ!
必死に抵抗するも、恭弥は掴んで離さない。
「お前らやめろよぉっ!!!!」
涼が大声で言いながら俺らを離そうとする。
そんなこをお構いなしに喧嘩を続ける2人。
その時、恭弥が叫んだ。
「お前がCyanなんだろっ!?」