Dying music〜音楽を染め上げろ〜
別、人。
「友達とか仲間とかそういう括りの意味を無理に理解しようとしなくていい。一緒にいて楽しいってのは自分がリラックスしている証拠なんだから。今更それが何かって探索しなくても大丈夫。」
話を戻そうか、とコードはバンドの話に変える。
「喧嘩した子のこと。その子と音楽やるのは楽しいの?」
「 楽しい、ですね。」
「それじゃあ、一緒にバンドするの楽しいって正直に言えばいいじゃん。」
「…無理。面と向かって深い話をするよう
な仲ではないんで。」
4 人で話すことはあっても、恭弥と音楽以外でじっくりお互いの話をしたことがない。
「他のメンバーとはまぁ話すんです。でも、そのメンバーとは些細なことでもすぐに口喧嘩になるんですよ。煽ってくるし。その挑発にすぐ乗っちゃう俺も悪いんだけど。」
俺は恭弥のこと大っ嫌いってわけじゃない。音楽の趣味は一番合うし、セッションすることもある。
でも、あっちがどう思っているのかなんて知らない。それに考えが合わないと口論になるのは事実だし。
恭弥について少しだけ話したあと、コードが「ん〜」と唸った。そして
「…その子ってさ、もしかして住格ツンツンしてるタイプ?」
と聞いて来た。
「はい。」
ツンツン?そんなレベルじゃないよアイツ。ツンツン通り越してトゲトゲだよ。
「冷めた感じでおふざけとかしないタイプでしょ?それで人に頼ることを極力嫌う。」
何でコードがきょうやの性格知ってんの。こいつってマジでエスパーか何か?探偵とか向いているんじゃないの。
コードは一人で納得したようにうんうんと頷いた。それからこういった。
「2人とも同じタイプなんだよ。思っていることはあるけれど言語化できない、上手く伝えられなくて遠回りになっちゃうタイプ。」
俺と恭弥が同じタイプ?は?意味わからん。
「一度腹割って話してみればいいさ。きっと仲直りできるよ。」
そんな簡単に…。
もう少しで殴り合いまでいきそうだった相手にどう話せっていうんだ。
「でもどんな顔して会えばいいか分かんない。」
「そんなのいちいち考えてんじゃねーよ!心塞ぎすぎだわ!大事なのは、今の想いを素直に伝えること!」
今の想い....
「お前の得意技。歌っている時は聞いている人に自分の想いを届けてるでしょ?それを言葉にするだけ!」
……酷いこと言ったこと謝りたい。
またセッションしたい。
それから、涼と怜斗にも謝りたい。
みんなとバンドしたいし、文化祭も出たい。
しっかり、伝えたい。