Dying music〜音楽を染め上げろ〜
「…あんたってアドバイスだけは適切ですよね。」
コードの話ってロジカルなんだよな。前の、バトルのときもそうだったけど。言葉選びや考え方が大人で筋も通っている、やっぱり年上なんだって感じる。
「だけって何、だけって。これでも結構本気で考えたんだよ?」
「でもありがとうございます。」
「それにしても、イマドキ高校生が大弊とかウケるわwww」
コードがクククッと笑ってきた。
「笑い事じゃないんですよ。」
ウケるだ?全然ウケないよ。文化祭直前で大喧嘩したんだ。雰囲気エグイ悪いし責任感と後悔とで泣きそうだよ。
「泣くか?wwwまた胸貸そうか??」
「またって…どういうこと。」
また、って何?胸貸すって…
「覚えてねぇの?お前、うわーんって泣いて抱きついて来たんだよ?」
だ、抱きついたっ⁈コイツに⁈
……ああぁ〜〜
学校から飛び出だしたときあたりだよね。そこら辺の記憶ほとんどないんだけど、絶対ぐしゃぐしゃだっただろ。あんな不細工な泣き顔見られたってことでしょ。
「最ッ悪…!」
恥ずかしすぎる、コイツ記憶トばしてくんねぇかな。頭を抱えてテーブルの上に突っ伏した。それを見てさらに笑うコード。
「でもよかった。顔色も戻ったな。」
…確かにちょっとは、心の整理ができた、かな。
「俺、やっぱり帰ります。」
「そう?」
「もう遅いし、うちの人も心配するんで。」
制限をカバンに入れて帰り支度を始めた。服は洗って今使ったと音楽と一緒に返そう。
「あの、今日は本当にありがとうございました。夕飯も頂いちゃって。」
ペコっと頭を下げた。
「全然。Cyanと話してこっちもいいリフレッシュになったよ。」
「リフレッシュ?」
首を傾げた。コードは、ちゃんと言ってなかったね、と笑った。
「今受験期で、来月に推薦入試があるんだよ。だからマスターのところも録音も今はストップしているんだ。今年中に決まれば年明けから再開できるんだけど〜…落ちたら 4月までかかるかな。」
…受験。
最近コードの投稿頻度が落ちていた理由ってこのことだったのか。
学校でも3年生が模試とかで学校残ってるのよく見かける。
てことは、今一番大事な時期。そんな中で俺自分のことで手一杯で、気づかないうちにコードの時間奪っちゃってた。
「すみません、大事な時に俺…」
咄嗟に謝った。
「だから俺にとってこれはリフレッシュになってるんだって。迷惑かけた、とか思わなくていい。
まぁ、しばらくはちゃんと会えないからね。終わったら連絡するよ。」
「頑張ってください。」
「ありがとね。じゃあ、気を付けて。」
コードに話してよかった。
音楽と一緒だ。想いを、届ければいいんだ。