Dying music〜音楽を染め上げろ〜
「やっぱり俺ら避けられてんな。」
夏樹と恭弥が大喧嘩してから土日挟んで約4日。夏樹に話しかけようとしても避けられる、目も合わない。
恭弥とはLINE の連絡はついた。「今は、気持ち整理したいから部活少し休む」だってさ。
「夏樹と何か話したか?」
怜斗に聞いてみるも、
「挨拶くらい。話聞こうとするとどっか行っちゃう。」
涼と全く同じ状況だった。
「そろそろやべぇぞ。二人のこともそうだし、文化祭のことも。再来週リハだぜ?このままじゃ間に合わない。」
涼が深妙な面持ちで言う。
現段階で完成しているのは一曲目だけ。二曲目はこれから微調整すれば間に合うが、コックピットはまだ未完成。リハは一回だけ。
MC や移動準備の打ち合わせも軽くしかしていない。そんな中で起こった今回の喧嘩。
「…仮にもし、二人がこのままだったら?」
怜斗が聞いた。
最悪、の場合だ。これは絶対にしたくないことだけど。
「そうなったら、残念だけれど文化祭ステージは無しだ。」
したくない。
今更になってはいやめます、なんて馬鹿げたこと言えるか。
言いたくない。
それだけは避けたい。
でも、それが現実味帯びてきている。
「今回はどっちも一生懸命すぎた結果引き起こったことだ。どっちも演奏を完成させたいって気持ちはあるはず。」
「どうやって仲直りさせればいいんだろ。あいつらの性格上、素直に謝るってことはしなさそうだけど。」
「強制的にでも話させるしかないだろ。」
「どうやって?2人で話せって送ってもあいつら絶対にしないよ。」
「…………考えがある。」