Dying music〜音楽を染め上げろ〜

   





え。



先にきょうやが口を開いた。




「今から話すこと無視しててもいいから聞いて。」




一呼吸置くと恭弥は話出した。





「お前が羨ましかった。大人でも難しいような曲をさらって弾けたり、とんでもない奏法ができたり。


同じ年なのに、同じギターなのに、どんなに練習したって俺はできなかったから。知らないうちに嫉妬してた。


コックピットも、俺が提案したのに俺がお前の足引っ張ってる。焦ってイラついて、自滅してたんだ。」




「あのとき、ギターの天才だって言ったけど、撤回させてほしい。夏樹は、努力の天才だ。小さい頃から一生懸命やってきた努力の結果が、今の夏樹なんだよな。その過程を貶して悪かった。」






 

恭弥の口からでた言葉。




謝罪と本音。

















「こっちもごめん。…今スランプで、立て続けにミスって焦ってた。でもいつも外れた音をカバーしてくれたりどうしたら曲全体がまとまるか計算してくれるのが恭弥。

俺、恭弥とギターの話するの楽しいんだ。周
っている同世代がいなかったから余計に。

これからも好きなアーティストの話もしたいし、セッションもしたい。


人格を否定するような、ひどいこと言ってごめん。それから、」









「俺はこれからも一緒にバンドしたい。」





これが正直な気持ち。











顔を上げると恭弥と目が合った。


やっと、見れた。






「...俺もだ。みんなと演奏するのは楽しい。


もちろん、夏樹とも。」











その言葉を聞いて心の中重い鎖が外れた感覚がした。






よかった


ちゃんと言えた


よかった


謝れた



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