Dying music〜音楽を染め上げろ〜
夏樹の正体
食べ終わって準備を終えると師匠がまた話してきた。
「動画伸びてるか?」
「ぼちぼち。先週もあげました。『カミナリロジック』ってヤツです。」
「あの高低音難しいって言ってたやつか?」
「はい。」
「再生回数は?」
「今,多分…70万回くらいです。」
「ほぅ。」
いや,あの曲普通に難しいからね?冒頭からの息継ぎなしの高速歌詞。サビなんて何パートも撮ってMIXも大変だったんだから。オリジナルアレンジとかも入れて。おかげで順調に伸びてるけどさ。
「こんばんは!CAN℃です〜」
声が聞こえた。バンドメンバーさん来たな。挨拶しないと。急いで下に降りる。
「…あ!ナツくーん!」
リーダーの人が手をブンブン振ってる。
「お久しぶりです。今回もありがとうございます。」
「いえいえ!マジでナツくんの演奏ピカイチだからさ〜!」
CAN℃さんは大学生男女5人組バンド。前にギターの人が体調崩したときに代理で演奏したのがきっかけで,ここの店の常連になった。今は普通にコラボとかで頼まれる。
打ち合わせとリハを終えてステージへ向かう。今回は全4曲。うち、コラボは2曲。
ー♪🎶〜🎶♬〜〜♪♩♬〜🎵〜…
ギターを弾くことが楽しい。
エレキギターの音がアンプを通して鳴り響く。そして他の楽器の音と混ざって一つの音になる。お客さんの拍手もまた一つの楽器としてメロディに加わる。
このライブ独特の一体感。
「ありがとうございました‼︎」
あっつい。熱量やば。
演奏を終えるとステージを降りて裏へ行く。
「いやぁ〜よかったね!今回もありがとう!」
「ほんとだよ!この年でこんなに上手なんだもん!」
「将来はプロギタリストかぁ〜?」
他のメンバーも口々に言う。
「流石になれませんよ笑」
バンドメンバーを見送ってすぐにAスタに戻った。
あと1時間…。時間押してるな。