Dying music〜音楽を染め上げろ〜









…びっくりした。


「失礼しまーす。」


あの,前鉢合わせた3人が来た。

  


「先生,生徒さー」

「俺たち如月くんに用があってきました。」









ーは?









え?何で俺?何の用で?しかも先生いいわよとか言っちゃうし。



渋々隣の談話室に入った。



長身は椅子に座ると勝手にベラベラ話し出した。


今すぐこの空間から出たい…。だから聞いた。





「何の用?」





案の定びっくりしてる。




そいつの口から出た言葉は衝撃なものだった。





「如月くん,軽音楽部に入ってくれないかな?」






マジかよ。



予想もしていなかった質問に一瞬戸惑う。が,すぐに返事をした。




「入らない」



「何で?」


キョウヤとか言うやつが聞いてきた。



「入りたくないから入らないの。」




冷たい口調で言い返した。


どうして入らないといけない。


ただの人数合わせにしか聞こえない。




「理由は?」



…何回も聞いてこないでよ。




「理由いる?自分の意思で入りたくないの。」

「あっそう」





つーかコイツの言い方何か腹立つ。嘲笑っているようで。




はぁ、もう構ってらんない。俺はリュックを持って浪川先生に挨拶して保健室を出てった。








マジで何なのあいつら。急にきて部活入ってくれってさ?



バス停に向かう途中,ふと昔の記憶が頭をよぎった。











ー『夏樹使うー?』

ー『え?あの子苦手なんだけど?全然喋んないしさー。』

ー『でも人数足りないし,合わせたもらってあとほっとこうよ笑』

ー『まぁそれでいっかー。』














………











ー『長澤さん,やっぱり俺らあの子とは無理です。』

ー『レベルが違うんスよ。』

ー『しかも中学生相手にしてるとこっちが気ィ使っちゃって,演奏もバラバラになるんです。』

ー『長澤さんには申し訳ないですけど,やっていけません。』














…………ーーーーー










ー『ごめんな,夏樹。またバンド組めなくて。』

ー『全然大丈夫ですよ。』

ー『…お前は学校でもここでもこんな嫌なことが続いても…音楽を嫌いにはならないのか?』







ー『…ーーーーー…』














「…ッッ!」






ズキッ…頭痛が起こる。


何で今!


気分を紛らわすために走る。そして全速力で家に帰った。






家に着いた頃には痛みは引いた。





バフっとソファに倒れ込む。幸い家には誰もいない。





「何で…何でなのかな。」



自然と涙が溢れてくる。




「バンドの話とか学校行くと…何でこんなに過剰に反応するのかなぁ…」








「もう…思い出したくないよぉ…。」






これがよく現れるようになったのは中3くらいの時だったっけ。






あの一件が終わったあと。















俺は…私はいじめられていた。中学校の2年間。最初は我慢できたけど,ある時,プツッと糸が切れて










本気で死のうと思った。
















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