Dying music〜音楽を染め上げろ〜

覚悟

意味が分からない。







なんでコイツらがここにいるんだ。








大通りのあたりから誰かにつけられている感じがした。しかも1人じゃなくて複数人。いつもの路地で巻いたはずだったのに，フェイク見破って追いかけてきやがった。

落ち着いているように見えるけど、内心相当焦ってる。ここまでつけられたこと初めてだもん。







「なんでいる。ここに。」

問いかける。


「如月くんこそ、なんでここにいるの？」

「質問に質問で返すんじゃねぇよ。」



こっちが聞いてんだ。頭沸いてんのか。



続けて質問する。



「なんでこの道わかった？」

「あとつけてきたからだよ。」


あとを付けてきただ？おい、ふざけんなよ。



「それストーカーっていうんだけど分かる？」

「なぁ教えてくれよ。なんでいつも南口抜けてここきたんだ？」










…いつも？









「アンタ，前にも俺のこと見たことあるの？」



レイトとかいうやつに聞く。



「2回くらい。習い事のあと。」







マジでなんなんだよコイツら。

いや，こんなことしている場合じゃない。これからステージあるんだ。早く行かなきゃー




「アンタら今すぐもと来た道帰れ。俺はー」










「おい，ナツ。」








聞き慣れた声で名前を呼ばれた。








「師匠。」

「遅いから見に来たんだ。んで，」




視線を3人に向ける。




「そいつら誰だ？」

「クラスメイトです。」

「お前まさか…！」







客引きでもしたのかとばかりに聞いてくる。
このストリート街で客引きは禁止行為だから。








「違います。前話した軽音楽のこと覚えていますか？そいつらです。勝手についてきたんです。」



実は勧誘のことは師匠にも話していた。そのおかげで話の飲み込みは早かった。



「なるほどな。話をさせてやりたいのはやまやまだが，あいにくお前出番20分前だ。」





oh，師匠それここで言っちゃう？






「出番？」

リョウが聞き返す。

　　　　



「すぐ行きます。おい，今すぐ帰れ。」

「帰らない。ちゃんと話すまで帰らない。」




いいや，おかしいだろ。本当に冗談抜きででぶん殴るぞ、マジでおい。





「ふざけてんの？」

「ふざけてねぇよ。本気だ。」


いつもとは違う目。これ以上帰れって言っても聞かないな、これは。


あ“ーーーーーッ。






「…師匠今から出番取り消しって，」


ダメ元で聞いた。



「できねぇよ。」

「お客さんに予告って，」

「もちろん，連絡が来た時点で予告した。」



マジですか…無理じゃん。



「取り消しはできねぇよ。客はもう入ってるんだ。諦めろ。」



　

しょうがない。



これはもう出るしかない。お客さんが待っている。ドタキャンなんてできるか。かと言ってコイツらここに放ったらかししてもずっといる気だしな。





「…分かりました。師匠，先戻っていてください。すぐ向かうんで。…あと、最後列入口側3人分スペース空けておいてください。」

「おう。」








はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ｯｯｯ










「来なよ。」



そう声をかけた。




「え？」

「俺これからステージあるんだよ。急がないと間に合わない。」

「は？」

「話はステージ終わってからだ。とりあえずついてきて。」