Dying music〜音楽を染め上げろ〜
早足でMidnightに入る。裏口のすぐそばに杏樹さんがソワソワして立っていた。
「あっ!ナツくん来た!おっそいよ〜!」
ペシペシ叩かれる。
「杏樹さんごめんなさい!裏ってもうスタンバイできてます?」
ギターを準備しながら聞く。
「佐々木くんがやったから大丈夫!マイクテストだけ自分でお願い!」
「了解です。」
大急ぎでチューニングをする。
「如月くんこれって、」
「ここでは如月って呼ばないで。ナツって呼べ。」
「ナツくん。これって?今から何するの?」
「見て分かるっしょ?ライブだよライブ。俺のギターソロステージ。」
3人の表情が変わったのがわかった。
「杏樹さん、この3人後ろの方にお願いします。」
「どういう,」
「その人について行って。」
練習の暇もなく,ステージへ上がり息を整えてからマイクを通して呼びかけた。
「遅くなってごめんなさい!」
お客さんが手を振って俺の名前を呼ぶ。
「今日はギターソロでやらせてもらいます。久しぶりなんでみなさんも盛り上げてくださいね。」
演奏スタート。今回は本当にギターソロだけで歌ったりは一切しない。流れてくる音楽のギターパートをアレンジしながら弾く。
みんなが好きな速弾きや転調を加えて曲を弾く。途中,手拍子も加わって盛り上がる。
「皆さーん、もっと手ェ叩いて〜」
たまにこんなふうに呼びかける。そうすると結構アガッてくれるからありがたい。
よし,このままラストまで弾く。