Dying music〜音楽を染め上げろ〜
この状態は一体なんなんだ。
如月くんがステージに立ってギター弾いている。しかもソロだ。
「なぁ、あいつって何者?ただの高校生じゃねぇよ。」
怜斗がたたずんで言う。
ギター一本でこんなに大勢の観客を盛り上げている。その度胸とテクニックとセンス、全てに心を奪われた。
全員、訳が分からずただステージの上を見ているしかなかった。
涼は近くにいた客に声をかけた。
「すみません,あのナツって人…」
「あ?ニイちゃんたち初めてみるのかい?」
50代くらいのおじさんがビールを飲みながら答える。
「はい。」
すると前方にいた男性たも話に加わってきた。
「ナツはな,ギターすげぇんだぜ!天才だ!大人顔負けの弾き方しやがる。」
「それによ,あの長澤さんの一番弟子だぞ!長澤さんは弟子なんか絶対とらねぇのによ!」
ゲラゲラ笑いながら話す。
「いつからナツはここでライブやってるんですか?」
恭弥が聞く。
「初めて見たのは2年前だな」
「俺は3年くらい前から見てるぞ!」
と言うことは少なくとも13歳か14歳の頃から人前で演奏してるってことか。
気づくとライブは終わっていて,ナツ…如月くんは帰っていくお客さんと喋っていた。
「外出て待ってて。」
そう言われ,裏口で待つ。
ーカタをつけよう。思いをしっかりつたえるんだ?