Dying music〜音楽を染め上げろ〜




「………え、涼,…え…、」

「うん。俺も今日気づいた。」

「おいおいマジかよ…」
















「女子ッッッッッ⁉︎⁈⁉︎」






怜斗は如月くん…いや、正しくは如月さん,夏樹さん?夏樹ちゃん?ああ、もうわけわからん。



透明感のあるアッシュブラウンの髪,切れ長の目,ギターを弾いている細い指。



俺らの目の前にいるのはどう見てもあの如月夏樹。でも…













スカート履いてる。







俺らがずっと男だと思っていた如月くんは女子だった。

朝びっくりしすぎて教科書を全部床にぶちまけた。







だだだ、だって「俺」って言ってたよ?

言葉遣い,完全に男子だったよ?

俺,覚えてるよ?

毎回毎回保健室来やがって。ウゼェんだよ。消えろよ。ってさ?







隣の怜斗は口をポカンと開けて固まっている。



「何か悪い?」



如月さんがツンッと言う。




「おい、恭弥は知ってたのかよ⁈」

「まぁ、3回目に会ったときくらいから何となく。」



だからこんな平然としてるのかよ。



「何で教えてくれなかったんですか⁈」




夏樹の隣にいた風間さんたちに焦って聞く。すると風間さんは笑いながら答えた。





「だってその方が面白いかなって(笑)」

「やっぱりこうなったね〜www」

「彩音〜?どしたん?」

「多賀くんたちが夏樹のことずっと男子だと思ってたんだってさー」

「マジぃ?確かに夏樹ちゃんかっこいいからね〜」





ええ〜…




「ほら,スカート。履いてるでしょ?」





如月さんがスカートの裾をヒラヒラさせて言う。えぇ、ずっと男だと思ってたのに。





「とりあえず落ち着いてよ(笑)」



風間さんも笑いながら言う。








あ,大事なこと忘れてた。








「今日さ、ー」







軽音楽来る?って聞こうとしたけど,タイミング悪く,3人して行ってしまった。






あ〜言いそびれた…。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー









「よし,じゃあ始めっか。」

「結局来なかったな。」

「帰りのHRの後聞こうとしたんだけど,気づいたらいなくなってた。」

「はぁ〜〜。俺らでひっそりやるかぁ。」








ガラッ…




「「「⁉︎」」」」



ゆっくり扉を開けて入って来たのは、





「如月さん⁈」






ゆっくりとこちらに近づいてくる。






「…る。」


何かブツブツと呟いた。



「へ?」




「だから…入る。その、軽音楽。」












ついに待っていた言葉を聞いて,感情がブチ上がった。





「「よっしゃゃゃアアアアイーーー‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」」






喜びすぎて恭弥にぶたれたのはまた別の話。













< 38 / 154 >

この作品をシェア

pagetop