Dying music〜音楽を染め上げろ〜

「えーっと、なんて呼べばいい？如月さん？夏樹さん？」


なぜか突然始まった自己紹介タイム。



入るって言った瞬間。リョウってやつとレイトってやつが飛び上がった。そしたら、キョウヤってやつが2人に一撃入れた。それで今ここ、謎の自己紹介タイム。




「夏樹でいい。」

「じゃあみんな呼び捨てで。」

「夏樹ってギター以外に何か弾けたりする？」





涼が聞いてくる。




「ギターが本業だけど、ベースはできる。ドラムは少しかじってるくらい。キーボードは…自信ない。」
　

「ほぼ全部出来んのかよ…」





ベースはコツを掴んだらある程度はできるようになった。ドラムに関してはほぼ初心者同然。曲に合わせてリズムは取れるけど，演奏は出来ない。キーボードは…ん〜ちょっと弾けるくらいなんだよな。




「ギターはいつからやってんの？」



怜斗が聞いてくる。




「小3から。その他楽器はその後から。」

「もしかして，教えてくれた人ってあの店の人？」

「そうだよ。長澤さん。俺の師匠。」

「あそこってクラブ？」




さっきから質問攻めだな。別にいいか。答えられることは答えるつもりだったし。



「正確にはライブハウス。よく大学生とかバンドマンの人がステージだったり対バンしてる。2階は練習スタジオ。」













「あの〜」



怜斗がそろ〜っと手を挙げた。



「これ聞いていいのか分かんないんだけどさ、」






「一人称『俺』って言うのはなんで？教室では『私』って言ってたから。」







………それか。んーこれ個人的なことなんだけどなぁ。




「いや、別に話さなくても大丈夫なんだけどさ！気になって、ご、ごめんな？」




もういいや、言うしかないだろこの状況。





「『私』っていう一人称に違和感があるから。『俺』の方が自分に合っているというか

流石に学校だとTPO弁えて『私』って言ってるけど、アンタらの前では初っ端から『俺』って言っちゃったし。彩音と色葉には癖だって言ってる。」







黙り込む3人。






「いやだったらやめる。」







「別にいいんじゃない？俺らあんまり気にしないから。」





恭弥が口を開いた。他の2人も頷いてくれた。



「わかった、ありがとう。」





「…お礼言えるんだ。」

「アンタに言われたくないんだが？」

「俺、一応恭弥っていう名前があるんだが？」



ムカついて言い返す。何だよこいつ、喧嘩売ってくんなよ。






「ははっ（笑）てか、夏樹って普通に喋るんだな。」



涼が笑いながら言った。



「何で？」




そりゃ喋るに決まってんだろ。こちとら人間なんだよ。



「第一印象とあの日のイメージがが強すぎて。」



確かにその日結構な暴言吐いたしな。おまけに涼のこと軽く殴ったし。







「その件に関しては申し訳なかったと思ってる。でもー」







「今段階でアンタら3人を完全に信用している訳じゃないから。これは事実。もし合わなかったらやめる。それだけは先に言っとく。」









空気が重くなって沈黙が続く。


すると急に涼がフッと軽く笑って言った。





「やめさせるかよ。言ったろ？信じさせるって。多分半年後には辞められないほど楽しくなってっから（笑）」