Dying music〜音楽を染め上げろ〜




次の活動日から本格的に練習を開始した。




最初は自主練。自分のパートを練習する。わからなくなったらその都度みんなで教えあう。いいところまでいったら合わす。




「夏樹、サビがいつも弾けないいい〜」

「どれ、一回弾いてみ。」

「あー、ここか。ここは.」

「こう?」

「もうちょい……そうそう。」





練習しながら怜斗の面倒も見る。ベースボーカルだけど歌に関しては全然心配なさそう。カラオケで 90 以上は当たり前なんだってさ



「夏樹。」

「何?」

「B メロの部分、ここ俺が裏弾くからそっちが主旋律弾いて。」

「わかった。」



恭弥に関しては楽器と音楽の知識が同じくらいだから会話が淡々としている






「夏樹!ドラムどう?」

「めっちゃ音ハメうまい。サビ入る前、少し力みすぎかも。」

「調整するわ!!」




ドラムって手足違う動きするから涼はすごいな。俺はリズムは取れるけど、バラバラになって雑音になる。



何だかんだ雰囲気はいい。


みんな経験者だから余計に。



ある程度楽器の知識もあるし、ごちゃごちゃの演奏ではない。










「サビまで少しだけ合せてみよう。」




ワン・ツー・スリーフォー…ッ!






🎶ー♬〜♪♪〜♪ー♫♩〜…





涼のドラムで演奏スタート。

怜斗もベース頑張っている。そう思いつつ演奏に集中する。






♩♫〜♬〜♬ー♫♩ーー♪〜🎶♩♪〜






いい感じ。








サビまでだからあっという間に弾き終わった。









涼がバッと顔を上げると、





「はじめてにしちゃ結構いいんじゃね!?音あってたし!」


と。




「それな!なんか感動w」

「悪くはないね」



恭弥も頷く。



「夏樹!」



涼がこっちを向いた。






「講評頼む。」

「なんで俺?部長がすればいいのに。」

「俺なんかよりも夏樹のほうがうまいだろ。専門的指導は任せる!はっきり言っていいからな!」




講評〜?うーん。


少し考えてからみんなのほうを向いて話し始めた。







「…よかったと思う。音が外れることも少なかったし、はじめてにしては上出来。」





涼が嬉しそうに笑った。





「個人的指導としては、怜斗はベース時々ずれる。ボーカルリズムに釣られてる。

恭弥はすごい音が安定してるからこっちも弾きやすい。でも安定しすぎて強弱がない。

涼は練習の時にも言ったけど力みすぎるところあるから、気持ち弱めに意識したらいいと思う。」





「以上です。」




ちょっと言い過ぎたかなと思い、一旦締めた。



「すっげー的確でかつ正直な講評ありがとーございます(笑)」



今日はこれで終わり。楽器を片付けて部室を施錠する。



今日一回合わせただけだけど、案外よかった。もっと崩れるかなって思っていたんだけど。





わりかしいい演奏にはなりそうかな。

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