Dying music〜音楽を染め上げろ〜
彩音の応援パフォーマンスを見て、次に涼が出る綱引きを見た。もちろん、どちらもしっかり動画に収めましたよ。あとで二人に送ろうっと。
競技が終わり、席を移動しようとしたとき、
「あっれー?いつの間に仲良くなったのー?」
軽快なスキップで現れた怜斗。その隣には涼。
「仲良くなっていないから。」
「動画、あとで送る。涼の顔、盛大に事故ってたよwww」
笑いながら恭弥が言う。
「そんなに顔やばかったか?」
「人食い鬼みたいな顔だった。」
「ぷっ、人食い鬼www」
怜斗がたまらず吹き出す。
「夏樹〜!!」
「色葉、彩音。」
応援を終えた彩音が色葉とこちらに来た。
「写真撮ろう!」
スマホを取り出して寄ってくる。
「じゃあ俺ら行くわ。」
その様子を見て涼たちはその場を離れようとした。しかし、コミュ力お化けの彩音だ。
「えっ、みんなで撮ろうよ〜!!!」
引き留めて全員で撮ろうと提案する。
「え、いいんですか。」
「もちろーん!ていうかみんな夏樹の部活仲間でしょ?知ってるって!」
俺と色葉、彩音が前列、あとの3人は後列に並んでカメラを掲げる。
「もっと詰めれるー?」
「多賀君が身長高すぎて見切れるっ、」
「涼、縮め。」
「無理いうなっ!」
詰められるだけ詰めて画面に入る。
「行くよー、ハイ、チーズ!!」
パシャ!
初めてみんなで写真撮った。みんないい笑顔。いや、恭弥と俺は半分真顔か。
こういう「青春」、経験しないで高校生活終わるんだろうなあって思っていた。
いいものだね、こういうのも。
「あ、応援見てたよ。可愛かった。」
「やった!ちょっとダンスミスったけどね」
えへへ、と頭を軽くかく彩音
「ダンスならコイツうまいよ。10年くらい習ってるらしいからさ。」
そういい、怜斗を指さした。
「すごいね!あたしなんてリズム感皆無だからさ〜。踊れる人が羨ましいよ。」
「コツつかめば意外と簡単だぜ!」
「踊ってる動画とかないの?見たい!」
「おお、いいよ!」
ワイワイ会話が盛り上がる。
「コミュカお化けどうしだと話も弾むんだね。」
色葉がふふっと笑う。
「お一い怜斗、行くぞ!!」
「今行く!じゃあね佐野さん!」