Dying music〜音楽を染め上げろ〜
(行くぞ。)
みんなでアイコンタクトをとる。
カッツッカツ…!
涼のカウントで『地上線上の彼方。』の演奏スタート。そこにベース、ギターが合わさる。
15秒のイントロ演奏のあと、怜斗が歌いだす。
🎶〜♪🎶〜ー♩〜〜…
いいね、声震えてなさそう。
恭弥ともギター合ってる。涼は今日調子よさげじゃない?キックいつもより強くて安定感ある。
ペースを保ったまま…いよいよサビに突入。
ここで恭弥と俺がパートチェンジ。
俺が主旋律、きょうやが裏パートを弾く。
🎶〜ッ!♩🎶〜
ワンテンポ遅れた、ごめん。
それに気づいた恭弥が俺の音に被せるようにしてカバーする。
(ごめん。)
そう意味を込めて恭弥に視線を送る。
(ミスんなよ。)
そう言わんばかりに目を合わせてきた。はいはい、もうミスりません。
その後大きなミスをせず、一曲目、『地上線上の彼方。』をやり切った。
次はアップテンポのボカロ、『カミナリロジック』
ここは俺のギターソロパートからのスタート。グリッサンドと呼ばれる奏法を使いながら、音を遊ばせる。暴走するんじゃなくて、そのままみんなの演奏に繋がるように切り方を工夫する。
そのあとドラムとペース、恭弥のギターが合わさる。この曲はドラムの音取りが難しい。涼も練習で苦戦していた。
一度リズムが変わるところがあるからつられないように気を付ける。順調順調。
…怜斗すごい。声量やば。
高音も上手いし綺麗。練習したんだな。
ここからの見せ場は恭弥の高速弾き。ジェットコースターのように急に音が鳴る部分だ。
あ、途中外れた。隣を見るとちょっと悔しそうにしている恭弥の顔が見えた。しかし、そこからすぐに立て直して、演奏に加わる。
音が合わさっている。
いつぶりだろうか。
バンドはもうしない。
そう思っていたのに、またこうやって弾けるなんてね。
さあ、ラストスパート。最後まで、手の抜かない演奏を。
〜🎶♪〜♩ーーー♬🎵〜…
ー「切り裂く稲妻、カミナリロジッック!」
・・・演奏終了。
会場からは大きい拍手が起こった。間違いない、今日1番の拍手だ。
「ありがとうございました。」
挨拶をするとステージを降りて舞台裏の控室に向かった。