Dying music〜音楽を染め上げろ〜













「…ッッハァ…」


2人を追いかけてついたのは一階の保健室。廊下の角で会話を聞いてみる。



……………………













「キサランッッ‼︎」

「ごめんね彩音テンション高くて。まだ慣れないでしょ」




いつも一緒にいる人たちだ。名前分かんないけど。そして話しかけているのが…



「大丈夫だよ。彩音がテンション高いのはいつもなんでしょ?」





如月夏樹だ






声だけだと判断できない。男子にしちゃ高め。でも女子って感じじゃない。大人っぽい声。






「ねぇキサラン,今日ギターある?」

「ん,あるよ。つーかキサランって?」

「あだ名だってさ。夏樹の」

「却下。」






なーんか低いなぁ。やっぱ男か?







「え⁈また却下⁈」

「うん」

「ションボリ(泣)まぁいいや。それより!曲‼︎早く聞きたい‼︎」

「わかったよ。じゃあ隣の部屋行こ。」






ガタッとギターを動かす音がした。




〜🎶♪〜♪〜♩



試し弾きが聞こえる。








「リクエストは?」

「サクトさんの『First KING』」 

「OK」



First KINGってロック系の曲だぜ?大人しそうなのにそういうの聞くんだ…




「じゃあ弾くね」







〜🎶〜♪〜〜♩〜♪〜♩♪


















その音色に驚いた。





鳥肌が立つくらいに上手い。


ロックって多少荒々しくなりがちなのに,全然荒っぽくない。


アコースティックギターの音色を活かした弾き方。


盛り上がるところは抑揚をハッキリつける。


連続弾きも間違えない。


演奏に聞き惚れてしまう。


涼は夢中になってしまった。その時ー








ガタッッ‼︎






後ろにあった台に気づかず,足を引っ掛けた。














「誰だ?」







(やっちまった…)



演奏がぴたっと止まって如月サンが尋ねてくる。



じっとしていると,






「誰?」





聞いてくる。


涼は扉を開けた。









「あ,…」




なんか言わねぇと…








「…絆創膏…貰いにきました…」




咄嗟に出たのがこれだった。








「先生ー?生徒さん‼︎」



先生いたのかよ。



「絆創膏?待ってねぇ」



しばらくすると,




「あ,あったあった!悪いけどちょっと中入ってくれるー?」





中に入る?如月って人見れんじゃん‼︎

ちょっとした好奇心を持ち,保健室に入った。




「失礼しまーす」








ーー  びっくりした。



だってそこには,

















ギターを持った茶髪の人が座っていたのだから。










この人が如月…?










マスクをしていて口元は見えないが目元がキリッとしている。


服装は体操着。その上に白いパーカーを着ている。


そして1番驚いたのが髪の毛…












茶髪。









怜斗も地毛が茶色っぽいがここまでではない。こっちはいかにも染めてるって感じの色。











絆創膏をもらって帰ろうとしたときだ


「あ!いたー!」


怜斗が急に現れた。そして恭弥も。


「やっと見つけたって…うわぁぁ⁈」


「何…え⁈」





2人は如月くんを見ると声を上げた。



「え?ダレ⁈⁈」



怜斗が指差して言った。


普通聞くかよッ!

 

「あ,お邪魔しました〜」


恭弥が状況把握したのか,2人を外へ引っ張り出した。


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