Dying music〜音楽を染め上げろ〜
急にゆずながそう言った。
「…もしかしてゆずな、学校行こうと思ってる?」
「…私、お母さんに迷惑かけたくないの。それに、勉強もしてみたい。でも……ナツみたいにできない。」
小さい声でそう答えた。
前の俺と同じ。
行こうとする気持ちは心の中にある。でも、それを実行に移すことがどれだけ難しいか。
怖くで仕方がない気持ち、心の中で葛藤する気持ち…痛いほど分かる。つい、数か月前の自分の姿だ。
中学校までは義務教育。相当なことがない限り、留年などはない。学校側も卒業させるところがほとんど。だから、卒業したら自由。
俺はゆずなの顔を見て言った。
「もし、ゆずなが本当に学校行こうとしてるなら応援する。無理に教室に入らなくてもいいんだ。中学校なら保健室登校でも卒業できる。高校は通信も全日制も夜間もたくさんあるし。」
俺はそうゆずなに話した。
「些細なきっかけで一歩の勇気は出るさんだから。な?」
ゆずなはコクッと頷いた。
いじめ、雰囲気に馴染めない、勉強についていけない、友達関係の変化、病気、学校に行けない理由は人それぞれ。俺もゆずなもそれと闘ってきた。
だから今のゆずなの手助けができるのは俺。
少しでも、背中を押す力になれるのなら…。