Dying music〜音楽を染め上げろ〜

駅まで一緒に行こう、と帰り支度を始めた。




「じゃあきーめた！」





突然ゆずなは大きい声でそう言って立った。










「私、ナツとおんなじ高校行く！」











「なっ！？」

「清条でしょ？受験までマジで勉強する！」





おおおお?これまたすげぇ宣言してきたけど！？大丈夫か？





「マジで言ってる？つーかお前偏差値幾つだよ？まず模試受けたことあんのか？」

「前受けたときは偏差値38 だったよ（笑)」




そんな自慢気に言うか？20も差あるじゃん。これは相当勉強しないと入れない。



「うちの高校偏差値58だぞ？」

「いけるって！ナツも最初こんな感じだったじゃん！」




俺はさすがに 45 あったわ。驚きすぎて口を半開きのままゆずなを見た。ゆずなは、はいはいっ！と手を叩き、



「まーいいから！世細なきっかけで一歩の勇気はでるんでしょ！」



元気にそう言った。


…そうだね。きっかけは何でもいいんだよな。ゆずながそれでやる気になってくれるなら。




「わかった。頑張ってね。」

「うん！」






後日、ゆずなから衝撃的な写真が送られてきた。




ほぁっ！？





教室だったから声を出すのは我慢した。




ええ、え〜……どしたん。



送られてきたのは髪を黒く染め、ボブカットにそろえたゆずなの自撮り写真。メイクもすっぴん風にして…別人だ。



ー『どうしたんだよ。』

ー『言ったじゃん、マジで勉強するって。』

ー『あのあとちゃんとお母さんと話したの。そしたら応援してくれるって。そのあと一緒にご飯食べてさ。久しぶりにお母さんと話せて嬉しかったんだ。』

ー『ナツ、あたし頑張るから！！ありがと！(^_^)』


良かった。ちょっと安心した。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【夏樹の休み時間】
◼︎角川ゆずな
ゆずなは学校の家囲気に慣れず、不登校になりました。それ以降は夏樹と同じく、特別支援の教室で登校しています。金髪でがっつりメイクの彼女ですが根は母親思いのいい子です。Midnightにはよく来ていて、夏樹のことはいいお姉さんと思っています。楽器は弾けませんが、知識はあります。