Dying music〜音楽を染め上げろ〜
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「また来てくれてありがとう。」
今日はマスターのクラブで2回目のステージ。マスターからまた来てほしいと言われ出ることにした。
そして目的はもう一つ。
「そんなに警戒しないでよwww」
いつものテンションで話してくるシュート。
もう一つの目的はシュートの正体を確かめること。なぜ俺に近づいてきたのか、どうしてここで歌わせたのか。自分からここに来るなんて度胸試しもいいところだと思っているけど。
二人になったタイミングで聞いた。
「あの、」
俺はシュートを見上げた。
「あなたは俺のどこまでを知っているんですか?」
シュートは何も答えない。じっと俺を見ているだけ。そして、
「今日分かると思うよ。」
静かな声でそう言った。
…これは黒だな。
すうううーーーーー……。
深く息を吸った。ステージに向けて整えよう。
ー「おーい今日も頼むぜぇ!」
ー「Cyanー!!」
観客は俺を認めてくれたのか、ステージ前にも関わらず応援の声が聞こえてきた。声援はありがたいが、シュートのことが引っかかってスッキリしない。頭の奥がもやもやしている。
ダメダメ。今はステージに集中。ぱちぱちと顔を叩く。
…一集中。
いつも通り、歌う。今日は静かな気分だったから、激しい曲は避けた。前にMidnightででも歌った、『HOW ARE YOU?』、そして、サクトさんの新曲の計2曲。ギターはテレキャス。
『HOW ARE YOU?』前よりも無理なく高音を出せるようになったから歌いやすい。もっと絞る感じで声を出すことを意識して…
「ありがとうございました。」
何事もなく、ステージを終えた、かと思っていた。
(いいねえ。)