Dying music〜音楽を染め上げろ〜
「シュートはここでの名前。」
全身に電気が流れたような衝撃を受ける。心臓が飛び出しそうなほどの拍動。
どうして、何で、どうやって分かった…
気持ちの整理ができない。驚き、恐怖、困惑、…感情が入り混じってくらくらする。
「…顔、見せて、いいんですか。」
歌い手は基本、顔出しはしない。それなのにコードは自ら正体を晒してきた。俺に知られることに抵抗はなかったのか?
「だって君こうでもしないと信じてくれないでしょ?」
コードは俺のことについても話してきた。
「ナツ君のことは知っている。正体不明の現役高校生歌い手、Cyan。」
俺の正体を知っていた前提でステージに呼んだんだ。
「……俺のどこまでを知っていますか…。」
声を震わせながら聞く。
コードはそうだなあ、腕を組んで考えた。
はっ…考えるくらいの情報量はあるってか。
「女ってこと、学校が清条高校だってこと、Midnightでギター代理していること、とかかな?」
ほぼ全部じゃん。
…あー、詰んだわ。性別はしょうがないとして、高校まで知っているとか終わってんだろ。どこで知ったんだっての。
もう半分馬鹿らしくなってきた。
もう、この状況からは逃げられない。
シュッ…
「Cyanっ!!」
後ろからマスターの声が聞こえたが、それを無視して仮面を外した。
フードも取り、髪をかき上げた。そして、コードの目をまっすぐに見る。
「改めまして、一」
「歌い手のCyanです。」
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【夏樹の休み時間】
◼︎Cyanの正体
Midnightで夏樹がCyanだということは師匠だけが知っています。バイトの佐々木さんと杏樹さんもスタンダードライブだけ担当しているので知りません。夏樹は歌うとき、仮面とフードを被り、顔を隠して歌います。服装も変え、足元もシークレットブーツで身長盛っています。話し声も自分で変えているので余程のことがない限りバレません。