Dying music〜音楽を染め上げろ〜
Cyanとコード
「Cyan…」
マスターが狼損えながら俺を呼ぶ。
「もう話しました。事情も知っているので大丈夫です。」
「この人と話をさせてください。」
今は、ナツとシュートではなく、Cyanとコードとして話がしたい。
それからマスターは俺とコードのために控室を開けてくれた。聞きたいことが山ほどある。クローズまでに間に合うか。
控室に入り、椅子に腰掛ける。コードはガコッと目の前に座った。
「Cyanちゃんってさ、」
「ちゃんってやめてください。君か呼び捨てでお願いします。」
ちゃんづけとか恥ずかしいにもほどがある。
「…Cyanってさ、綺麗な顔してるよね。」
「…………は?」
初っ端それ?ナ、何を聞いてくると思ったら容姿?
「目とか切れ長ですごく綺麗。好み。」
顔をグイっと近づけられる。…近っか。
「…口説いてんですか。」
何も答えない。ずっと笑っているだけ。
何を考えているんだ?
「....俺は全然好みじゃなんで。離れてください。」
「冷たいなあ。」
頰を膨らませ、子供のように拗ねながら離れた。
「そういう話をするために二人にしてもらった訳じゃないんですよ。」
俺はコードの目を見た。
「なんで俺がCyanだって分かったんですか?」
「俺はMidnightで一般客の前ではCyanとして一切歌いません。ステージに立つのはナツとしてギターを弾くときだけです。限られた場面、時間しかステージには立ちません。それなのに、なぜアンタは俺の正体や顔まで知っているんです?」
俺はバンドさんとのコラボ、ソロ、Cyanとしてステージに立つときも含めて事前予告はせず、当日発表だ。だから、俺がいる日をピンポイントで狙って来れる客はいないんだよ。
「刑事みたいだねぇ〜(笑)」
「こっちは大真面目に話してんだよ。」
いつまでへラヘラしてやがる。あまりにもイラついてわざと低い声で言った。コードは一瞬ドキッとして、それから気づいた経緯を話してきた。
「きっかけは 6 月の高校生バンドフェス。君、あれ出てたでしょ?確か… AMITIEってバンド名で。」
ー「そこに俺も観客としていたんだよね。」