Dying music〜音楽を染め上げろ〜



それから数日後一




「はじめまして、俺一」

「コードだな。」




今日はバトルの日。クラブで歌ったあの日から自分がどこまで行けるのか試したくなって、応募することにしたんだ。

今回は少し、遠方の会場だから一人では危ないってことで、コードがMidnightまで迎えにきてくれた。

それで今、出かけようとしていたのだが一




「今日〇〇区のクラブに行くと聞いた。お前、あの辺は詳しいのか。」


師匠とコードがちょっと、ピリつき雰囲気です。

「はい。あの辺にはマスターの知り合いもいますし。俺もバトル自体は何回も出ているので、心配はないと思います。」



それを聞いてもなお、警戒心強めな師匠。
…俺が警戒心強いのはこの人に似たからなのかな。


「じゃあこれ。」


コードはスマホを取り出すと、師匠に見せた。




「俺の連絡先です。あ、この宗(しゅう)ってのは俺の本名です。」

「お前、本名って…」

「マスターも知っています。何なら確認してくれても構いません。何かあったとき用に交換しておきましょう。」

「…そこまで言うなら信じる。だが、くれぐれも危険な場所には連れて行くなよ。こいつはまだ未成年だ。」

「承知しています。」



何とか無事出発。ピロン。師匠からLINE?





一『もし遅くなるようだったら迎え行くからな。あと、そいつになんかされたらぶっ飛ばせよ。』


ぶっ飛ばせって。師匠、さすがに無理ですそれは。こいつ、身長182cmあるんですよ。足もリーチも長ぇんすわ。なんかあったらちゃんと110番通報しますよ。




「あの人?Cyanくんの師匠って。」

「そうです。」

「めちゃくちゃ警戒心強めの人だね。Cyanとそっくり。」

「あの、コードさんはどうして何でもばらすんですか。」

「だって信用してもらえないじゃん?」



信用っていう二言のために本名も顔も連絡先も全部教える?


「本当に警戒心強いよねぇ。会うの3回目だよ?そろそろ心を許してよ〜?」

「たった3回会っただけなのに信用しろっていう方がおかしくないですか?」

「Cyan節、絶好調だなwww」




電車を降りて会場付近まで来た。



「ここからはジュンとシュートでいこう。そろそろ会場だからね。」




今回シュートと3つ約束した。

一つ、今回は女性として参加すること。男だとあとあと、会場の奴に絡まれて面倒だから、だそう。名前は新しいハンドルネームである、「ジュン」と名乗ることにした。

二つ、8時にはここを出ること。前回、お母さんに怒られたのもあるが、夜は危ないから絶対に長居しない。

三つ、シュートの側からできるだけ離れないこと。俺はここの土地勘が全くない。店内、人物、帰り方、受付の仕方、全部シュート頼み。何かあってからじゃ遅いからね。




クラブに入る。



「🎶ッ♩♪ーーーーーッ♩」




マスターのクラブと雰囲気は似ているけれど規模はこっちの方が大きい。爆音の音楽、たばこの匂い、酒の匂い。金髪、赤髪…カラフルな大人ばっかり。


この雰囲気…怖い。緊張と不安で全身が硬直する。



「俺から離れないで。」


そんな様子を見たシュートは俺の肩を引き寄せた。受付を済ませてドリンクチケットを貰う。






「おーい、シュート久しぶりじゃないか。」



奥から一人の男性が出てきた。大学生…?仲良さげにシュートと話している。


「誰その子?」


目線がこちらに向けられる。一瞬ドキッとしたが、軽く会釈をした。


「今日のバトル出る子。ジュンちゃん。」

「何、お前の女?(笑)」

「違うよw」




そんな冗談を言いながら二人で話し始めた。会話がいちいちおっかないんだよなぁ。



「楽しみにしてるよ。もうトーナメント表出てるから見て来いよ。」





ステージ横に貼ってあるトーナメント表を見に行った。



今回は8人が参加するトーナメント方式で、勝った人が次のバトルに進める。ルールは簡単、いかに会場を沸かせられるか。

えっと、俺はCブロックか。それでこっから勝ち上がると....
















...嘘だろ。











恐る恐る隣を見た。


「え〜これは予想外だねえ笑」


静かに笑うシュートの姿。













     【Cブロック】

     ジュン VS◼︎◼︎

     【Dブロック】

     〇〇VSシュート

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