Dying music〜音楽を染め上げろ〜
「ちゃんと自分のイメージあるじゃん。」
……はっ……
心の中の声が漏れていた。あぁ、もう今日ごっちゃごちゃ…。泣きそう。
「今日で今何が足りないのか分かったでしょ?あとはそれを磨いていくだけだよ。」
いつの間にかコードはいつもの調子に戻っていた。
「ちょっと言い過ぎた。ごめんね。」
コードは俺の頭を撫でた。その目は本当の優しさの目だった。
「……触んな。」
ペっと手を振り払う。こっちは悔しくて泣くの我慢してるんだ。近づいてくんな。触んな。どっか行け。
「それとバンド、応援している。たくさん思い出つくりなよ?」
今日、調子最悪だ。会場の空気にやられて、コードにバトル負けてここで正論食らって。厄日かよ。
「…あんたの性格どっちが本当か分かんないよ。」
「ふふっ。駅まで送るよ。喉、きちんとケアしてから寝てね。」
今、俺に足りないもの。
場慣れの数、体力、発声方法の改善、あとは師匠にも言われた高音、声域の拡大。
それから、音楽に対する明確な目標そして目指す場所。 …たくさんある。
でも、これだけあるってことはこれからまだ伸ばせるということだよね。
今の自分に、足りないピースを継ぎ足して、進化させていく。
自分の音楽を追求し続けるんだ。