Dying music〜音楽を染め上げろ〜









先週、夏休みに入った。


高校生になって初めての夏休み。


グラウンドでは陸上部とサッカー部が炎天下のなか練習している。





暑いいい〜…。


ブラウスの袖をさらに捲り上げた。


この学校はなぜか部活動での登下校時にでも制服登校することが校則。登校したら活動着に着替える。なんで体操着じゃダメなんだろう。汗で体にスカートがくっついて気持ち悪いったらありゃしない。




階段を上って部室に向かう。みんなに会うのは久しぶり。

マスターのところのステージ、それから個別にコードの件があってずっと参加出来ていなかった。



「夏樹、久しぶり!」

「ごめん全然来れなくて。」




ジャージに着替えてギターを準備する。いつも通り、涼の「やるぞー」の声がかかると部屋の中央に円になって座る。


今日は文化祭に向けての話し合いとMidnightのステージの振り返りがメイン。



まず、文化祭の方から。



曲のほかに実行委員会から貰った資料を見ながら時間配分なんかも考える。








「今回は文化祭ってことだから青春のとか、アニソンなんかもいいと思う。」





みんなが知っている曲で盛り上がるもの。YouTubeやアプリで曲を探す。




「今やっている映画の主題歌とかどう?」



怜斗がプレイリストを見せてきた。


ああ、これ聞いたことある。ドラムかっこいいやつだ。アップダウン奏法めちゃ速くてサビに入るときに乱打するスピード感のある曲。映画の主題歌だったんだ。





「初めて聞いた。」

恭弥がヘッドホンでもう一度聞く。




「これいいね。盛り上がると思う。」

「『コックピット』は?」

「それ俺も思った!盛り上がりの代表曲だし。」

「これ、ギターメインだから難しいぞ。夏樹と恭弥いけるか?」








『コックピット』


スピード感のある曲調、頭に残るイントロ、爽快感抜群のサビでは絶対盛り上がる。


難所は涼も言っていた「ギター」。



この曲、とにかく速い。しかもギターソロのパートもチラホラ。テンポミスったら総崩れだ。でも、



「「いける。」」



同時に速攻返事した。…被んなよ。



「さっすが二人。じゃあこれも。」



そのあともCMソングや映画の主題歌などいろいろなジャンルを聞いて決めた。



「よし!決まりだ!」



今回は全3曲。これを10月の本番までに仕上げていく。
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