Dying music〜音楽を染め上げろ〜
「次の話行くか!」
そう、文化祭の話も大切だが…。
「んと、バンドステージの感想、どう思ったか、俺らに何が必要か、なんでもいいから話そうぜ。」
「じゃあ俺!」と怜斗が手を挙げた。
「3番目に出ていた社会人バンド!すげぇ楽しそうだった。なんか体全体でリズムとっていてダンスみたいだった!」
「俺らはまだリズムとれるほど余裕ないしな。」
「まだ、指先だけで弾いている感じだよな。この間のバンドフェスの映像も観たけれど、全体的に固かった。」
涼も恭弥も納得する。
「全部のバンドに共通して言えるのは、曲の見せ方が上手いってことかな。歌詞に合わせて強弱をつけたりさ。」
そのあとも参考にしたいことや必要なことをまとめて、この間作った「軽音楽部ノート」に記入していく。
「これくらいだな。」
大体出そろった。有意義な話し合いだったな。話し合いも終わったことだし練習始めるか、と動こうとしたときだ。
「ごめん!やっぱりこれ聞いていいか!」
ソワソワした様子で涼が聞いてきた。
「なぁ、この前俺らのこと仲間って言っただろ?どうでもいいことかもしれないけど、ずっと気になってて。あれの…その意味って?」
「…特別深い意味はないよ。」
「じゃあ、俺らってまだ信用ない感じ?」
怜斗が少し不安げに聞いてくる。
「信用とかじゃ…
一 「仲間なら本当の姿くらい晒せよ。」
暖味に濁しちゃダメ。
自分の言葉で、今の気持ちを伝えないと。
深呼吸してから俺は話し始めた。
「…俺は、人を信用するのに時間がかかる人間っていうか、コミュニケーションとることが苦手。だから友達とか信頼関係だとか、はっきりそういうのが分からない。」
「そうか」
「でも、」
「???」
「フェスでみんなの音が合わさったとき、嬉しかった。ちょっと、バンドっていいなって感じた。みんなと演奏したり話したりするのは楽しい。それは、ここにいない色葉と彩音も同じであって…」
上手く言葉がまとめられない。
本だって小説だって読んで歌詞も書いてる。
けど、こんな時に限って適切な言葉が見つからない。
「聞きたいことがあるんだけどいい?」
俺は3人に質問した。バンドを続けていくのなら聞いておきたいことがある。
「3人はどんな音楽がしたい?」