あの夏空の下、君と生きた七日間。
「ほれ、そこの白澄。行け」

「へ?」

ピンチヒッターとして、僕は選ばれた。

どうやらチームのひとりの体力が限界に陥ったらしく、その代わりが僕ということなんだそう。

信じられない気持ちを覚えた僕は、驚きのあまり調子が狂ってしまったのだろう。

それまでよかったコートの環境がその一本のサーブミスで、ガタガタに崩れてしまった。そしてチームの敗戦までも招いてしまったのだ。


あれからというもの、僕は先輩達からいじめを受けるようになった。

体育館の掃除を押し付けられたり、ジュースを何本も買わされたり、ボール拾いばかりに付き合わされたりもしたっけ。

おかげで食欲も落ち、今じゃおむすび二つで腹いっぱいなぐらいだ。いじめてきた先輩達が引退してやっとまた、ボールに触れるようになった頃には、いくらサーブやスパイクを打ったとしても、ネットすら超えなくなってしまった。

「くっそお!!」

ネットにぶつかった無数のボールがコート中に無造作に転がっている。それを眺めながら力なく項垂れた。

「どうして……?僕は……」

怖いんだ。きっと。
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