あの夏空の下、君と生きた七日間。
「えー!ちょっと、先輩……」

盛り上がる雰囲気の中、赤木ひとりだけが取り残されたように、力なく項垂れていた。

「あと提案なんじゃが、2年の女子をひとりマネージャーに勧誘してほしい。誰か、頼めるか?」

ひとしきり歓声がやみ終わったあと、草木先生が平然と言う。その瞬間、一番耳を疑ったのは羽宮先輩に違いない。

ここ5年、バレー部のマネージャーはひとりも配属していなかったらしい。そもそも草木先生が受け付けてないみたいで、その理由は必要ないからだそう。

「先生、本当ですか?」

何か聞いたらいけないことを聞いてしまったような、信じられないような顔をして羽宮先輩が聞いた。

「まぁ、先生も年じゃからのう。誰かに手伝いを頼もうと思うてたとこじゃ。ほれそこの海原、頼んだぞ」

「……ぼ、僕がですか!?」

驚きのあまり、声が裏返る。

第一女子と話すことなんか、頻繁にあるわけがない。あるとすれば____。

今朝の千春の顔が脳裏をよぎる。同学年かもわからないし、頼むなんて無理な話だろう。

げんなり肩をすくめると、それを見た草木先生は頼んだぞ、ともう一度言うように優しい笑みを浮かべながら小さく会釈をした。

「では、これにて朝練は終了。皆、始業に遅れぬように」

「おーっす!」
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