あの夏空の下、君と生きた七日間。
落ち着きがあるような空間で、いつしかその席に座りたいと憧れを抱くようになった。

そうしてようやく先週末に手に入れた、僕の特等席だ。

授業中にうっかり眠ってしまっても先生に気づかれることはあまりないし、どこかの動物園のように騒がしい昼休みも、ここだけは静かに過ごしていられる。

そんな場所にいる僕は別に男子とじゃれあう柄でもないし、女子にモテモテでもない。まるで学校に絶対ひとりはいそうな、はみだしもののような人だ。かといって、ひとりぼっちは慣れたもの。寂しいとかという、感情は微塵にも抱いたことがない。

「噂によると女子らしーぜ」

いつの間にかクラスの中心になっていた、赤木が言う。

「どっから聞いたんだよ?そんな情報。ま、美女なら文句ねぇけんど」

「まさか、変なこと考えてんじゃないでしょうね?」

「い、いや、まさかな」

「えー!ヘンターイ!」

興奮気味の男子に避難の声を浴びせる女子。

この盛り上がり様は7月上旬という、転校生が来るにしては珍しい時期でもあるからだろう。ともあれ、僕にとっては気にすることもないようなものだが。席が近くにならない限り、話すことなんてないと思うし。

「おはようです。みなさん」
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