あの夏空の下、君と生きた七日間。
始業のチャイムが担任の登場と共に鳴る。中央に集まっていたクラスメイト達は、ぞろぞろと自分の席に座り始めた。その顔はどれも少しの不安と、大きな期待に満ち溢れている。それに対して、僕は窓枠に切り取られた真っ青な空をぼんやりと仰ぎ見ていた。

「今日は新しいクラスメイトを紹介します。空野さーん」

「はーい!」

張りがある大きな声と同時に勢いよく開かれた引き戸。その瞬間、目を見開きたくなった。視界の端にとらえたのはなんと、早朝ランニングの時に会った"飾り気のない美女"ではないか。いや、そっくりさんという可能性もある。

「おおー!マジ美女じゃん!」

「綺麗ー!」

思い思いの声が教室中に響き渡る。その中に嫌みのように聞こえるのはひとつもない。現状を知った僕は、こっそり胸を撫で下ろす。それから彼女・空野千春と思われるそっくりさんをしっかり視界に入れた。

下がり気味の細眉。

色白で、少し曲がった鼻筋。

腰の上まで長い、明るみのある茶髪。

どこもかしこも、今朝見かけた少女と変わってない。

まさか……。

担任の隣に立った彼女は、クラスメイトの方を向く。
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