あの夏空の下、君と生きた七日間。
戸惑う間にも千春はこちらに近づいてくる。

担任に『よろしくー!』と言われたからかなんなのか、心臓の鼓動が幾分か、速くなったような気さえした。

それを必死に抑えようと唇を噛む。

「まさか、同じクラスだとは思わなかったよー。白澄だっけ?よろしくね」

先程と変わらない気分爽快な様で、千春は空白の席に腰を下ろす。さすがに会うのも二回目だ。透明人間かのようにスルーするわけにもいかない。

「ま、まぁな。よろしく」

苦笑気味に洩れた声はどこか、ぎこちなさがあった。

それは千春が満面の笑みを浮かべていたからだろう。何よりさっきから四方八方に集まっている視線が気がかりだ。

そもそも千春と僕が既に会っていることは幼なじみの赤木でさえ知らない。だからこそ、この状況には納得がいく。

おそらく授業の後は質問の嵐にさいなまれるのだろう。どこかの穴にでも隠れていたい気分を覚えた。


その日の休み時間。質問の嵐に襲われたのは僕ではなく、千春だった。転校生なのだから当たり前だ。はみだしものの僕なんかより、よっぽど興味が湧くのだろう。

「アフリカって言ってもどこの国から来たの?」

「英語って喋れる?」
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