あの夏空の下、君と生きた七日間。
「どうしたらそんなに美人になれるの?」

頷く間もなく飛び交う質問。その声はどれもが女子で男子は教室の端の方で、近よりがたそうに距離をとっている。

そんな中、千春は意外にも戸惑いすら一切見せず、ひとつひとつ丁寧に応答していた。時に笑いあったりしていて、楽しそう。その姿に妙な羨ましさと感心を覚えた。

「白澄は転校生、興味ないんか?顔見知りらしいけんど」

赤木が前の席に座りながら言う。

「別に」

最初は異様な質問をしてきたから不思議な存在だと思った。とはいえ、隣の席になったというものの、未だ一言二言しか話していない。つまり彼女に対して、興味はまだ浅い方というところ。

「聞くところによると、バレー観戦が趣味らしいぜ。マネージャー、薦めてみてもいんじゃねぇか?」

確かに。他の女子に頼むにしても、申し訳なさと気まずさが伴う。その上、自分から話しかけるだけでも一苦労だ。

それに比べて、千春とは既に話したことがある。内容はちょっと世間話離れしていたけれど。彼女なら快く引き受けてくれるかもしれない。

「何言ってんの?私に頼めばいいじゃない?」

そう言って割り込んできたのは、学級委員長の双葉蕾だ。セミロングの透き通った髪に太い眉と小さい鼻が特徴的である。
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