あの夏空の下、君と生きた七日間。
明るく茶色に透き通った髪は腰の上まで長く、色白で鼻筋はグニョリとほんの少し曲がっている。まるで、ピントが少しずれた写真のようだ。

細い眉は目尻になるにつれ、下がり気味だが顔立ちはいい。一言で言えば"飾りけのない清楚な美女"そのものであった。

どこからどう見ても知らない顔だ。

そして何か祈りでも捧げているように目を閉じて、両手を合わせている。

どこかの神社でもないのにそうしてる姿は不思議なくらい、新鮮に目に映った。気がつけば見惚れいたほどだ。

しばらくして、彼女は祈り終わったように目を開けて合わせていた両手をおろす。それからなぜかこちらを向いた。

「ねぇ、君はこの世界をどう思う?」

「……へ?」

優しい笑みを浮かべて聞いてきた彼女。驚きのあまり声が上擦る。全く面識もないのにその第一声とはどういうことだろうか。その上、僕にとっては考えたこともないような質問。当然それなりの答えなんて、出てくるわけがない。

沈黙していると、彼女がそれを察したように口を開いた。

「ごめんごめん、突然変なこと聞いちゃって。びっくりさせたよね」

へらへら笑いながら彼女は言う。どこか、馬鹿にされているように聞こえるのは、気のせいだろうか。
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