あの夏空の下、君と生きた七日間。
何気なくボールを手に取りサーブを打つ。高さが足りないのか、それはネットの縁に当たりそのまま、自分のコートへスローモーションみたいに落ちていった。

これはプロのプレイヤーでも、調子が狂った時によくやるミスだ。けれど、僕の場合はそうではない。

もう一度ボールを手に取り、宙へと放つ。

案の定、ネットすら超えてくれない。思わず舌打ちまで出てしまう。

「ピンチヒッターのこと、まだ引きずってんのか?」

そう言って凄まじいサーブを相手コートに叩きつけたのは数年前、僕を早朝ランニングへ連れ出してくれた幼なじみ・赤木渡だ。

バレー部に入部してきたのは中2の時。僕から5年以上遅れて始めたくせにすぐレギュラー入りはおろか、チームのエースにまでもなっている。きっと生まれつきの才能と、185という長身を持ち合わせているからであろう。

短髪の髪も整った顔立ちも爽やかで勉強もスポーツも万能。その上、生徒会の書記を務めており、クラスはおろか、学校中の人気者だ。

そんなヤツがどうして僕なんかに関わっているのかというと、「幼なじみだから」と彼は当たり前のように言う。けれど家が離れて以来、その言葉の意味はわからなくなってきた。

寧ろ、放っておいてほしいと思うほどだ。正反対すぎて一緒にいればいるほど、自分の惨めさを痛いほど痛感させられる。

「関係ないだろ。お前には」
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