あの夏空の下、君と生きた七日間。
踵を返してまたサーブを打つ。すると今度は、ネットの真ん中に当たって落ちていった。

「あれからもう、一年も経ってるんだぜ」

そう。僕の放つボールがネットを超えなくなったきっかけはちょうど今から一年前のこと。

「一年しかだよ」

この欠点はバレー界にとって致命的なものだと思う。

「どっちも変わらねぇじゃん」

赤木がもう一発、とサーブを打つ。それは綺麗な放物線を描いて相手コートに叩きつけられた。

「なぁ、白澄はバレーが好きか?」

コートに転がったボールを拾いながら聞いてくる。

「嫌い」

というか、苦手。唯一好きなのは走ること。体育祭の徒競走では、いつも1位を守り続けている。そのせいなのか、選抜リレーのメンバーに何度か選ばれた記憶がある。

「じゃ、なんでバレーやってる?」

それでも、バレー部をやめて陸上部に入部しない理由。それは……。



『あなたは心葉(ここは)大学に通いなさい。それが、母さんの夢だから』
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