あの夏空の下、君と生きた七日間。
そのためレギュラー入りはおろか、ピンチヒッターで活躍することもできず、母さんの夢を叶えられる自信さえも消失してしまった。

それでも、バレーをやめようとしない理由は2つある。

1つ目はそもそも、僕には人の夢を見捨てる勇気など、持ち合わせていないから。

胸に抱いた夢を叶えること。それを自身の生きる理由にしている人だっている。母さんもその一人だ。

ましてや、あの病弱な母さんだ。多数に昇る入退院のせいで自分は不幸な人だとか、どこかで思い込んでるはず。その心を少しでも癒してあげたい。あるいは、産んでくれた恩返しがしたい。そんな気持ちがある。

２つ目は僕が小学卒業を機にバレースクールをやめ、中学のバレー部に入部してからというもの、母さんの入退院は見られていない。

その奇跡的な現実にバレーを下手でもやるという気力が湧いてくるのだ。

だから、今まで続けてこられた。たとえ、レギュラー入りや少しの活躍さえもできなかったとしても。

そんな中、ひとつの大失敗を僕は侵してしまった。

それは去年の夏のインターハイ。

先輩達や赤木の活躍により、僕らのチームは準決勝まで順調に勝ち上がることができた。

レギュラーでもない僕はベンチで他の部員や顧問の先生と応援・サポートに励んでいた。

そして迎えた準決勝。僕らのチームは、強豪校の一員に属す心葉高校と戦うことになった。その割には接戦でコートにはどちらも1点でも譲るものか、と張りつめた空気が漂っていた。

そんな中、
< 9 / 29 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop