泣きたい訳じゃない。
私はキッチンで真美さんのお手伝いを始めた。
「真美さん、今日はご招待ありがとうございます。」
「こちらこそ、無理言ってごめんね。莉奈ちゃんも予定とかあったでしょ。」
「いえ、私は大丈夫です。ただ11時頃に電話があるので、少しだけ出てもいいですか?」
「もちろんよ。彼氏?」
「いえ、そんなんじゃ・・・。」
「大丈夫よ、雅治さんには秘密にしておくから。」
「ありがとうございます。本当、兄ながら面倒な人ですよね。」
「確かに。葵に彼氏ができたらどうしょうって、今から言ってるわ。」
やっぱり・・・。
「葵ちゃんが可哀想。」
私達は顔を見合わせて笑った。
真美さんはお嬢様育ちらしい品の良さがありながら、それを鼻にかけない気さくな雰囲気な人で、私も「お姉さん」として慕っている。
それに、真美さんは兄が婿養子になったことを一番気にしている人でもある。
11時ちょうどに電話が鳴った。
私は今日は電話は出来ないと拓海にメールをしたのだけれど、「少しでいいから莉奈の顔が見たい。」と言われ、断れなかったし、その言葉が嬉しかった。
「真美さん、今日はご招待ありがとうございます。」
「こちらこそ、無理言ってごめんね。莉奈ちゃんも予定とかあったでしょ。」
「いえ、私は大丈夫です。ただ11時頃に電話があるので、少しだけ出てもいいですか?」
「もちろんよ。彼氏?」
「いえ、そんなんじゃ・・・。」
「大丈夫よ、雅治さんには秘密にしておくから。」
「ありがとうございます。本当、兄ながら面倒な人ですよね。」
「確かに。葵に彼氏ができたらどうしょうって、今から言ってるわ。」
やっぱり・・・。
「葵ちゃんが可哀想。」
私達は顔を見合わせて笑った。
真美さんはお嬢様育ちらしい品の良さがありながら、それを鼻にかけない気さくな雰囲気な人で、私も「お姉さん」として慕っている。
それに、真美さんは兄が婿養子になったことを一番気にしている人でもある。
11時ちょうどに電話が鳴った。
私は今日は電話は出来ないと拓海にメールをしたのだけれど、「少しでいいから莉奈の顔が見たい。」と言われ、断れなかったし、その言葉が嬉しかった。