泣きたい訳じゃない。
「おい、莉奈、どう言うことだよ。」
当然だけど、拓海が怒っている。
「あの実は、今、兄の家に来てて。さっきのは兄なの。今日は姪っ子の1歳の誕生日で・・・。」
「どうして、最初からそう言わなかったの?本当にお兄さんかも分からないし。」
「ごめんなさい。でも、正真正銘、血の繋がった兄だから。」
「他に隠してる事もうない?」
拓海はまだ何かを疑っている。
「もう、ないよ。」
「さっきのデュアルレジデンスの高田さんだよね。」
「えっ。」
私は驚きすぎて、言葉が出ない。
「声で分かった。何度か電話で話したことあるし。何で今まで俺に黙ってたの?確か、大学の先輩って言ってなかった?」
「ごめんなさい、嘘を吐いてた。仕事相手が私の兄だって分かったら、拓海が気を遣うかもと思って。」
「それだけ?」
「それに、兄は私の心配が凄くて、だから・・・。」
「名字が違うのは?」
「姉が高田家の長女真美さんと結婚した時に、高田性になったの。」
「ふーん。高田さんが話の中で、時々、『莉奈』って呼ぶのが気になってた。だから、その理由が分かって、今は納得できる。俺は違う方に疑ってたし。」
「本当にごめんなさい。」
「俺達離れてるんだから、こんな些細な事でも行き違ったら、誤解を解くのに時間も掛かる。」
私は泣きそうになる。
今まで寂しさで泣きそうなのを我慢してたのに、こんな事で泣きそうになるなんて思いもしなかった。
黙ってしまった私を見て、画面の向こうで拓海は困った顔をしている。
こういう時、距離がとてももどかしい。
「莉奈、分かったから泣かないで。もう怒ってないから。今日は、姪っ子のさんの誕生日なんだろ。楽しんで。それから、今日は何時になっても、家に帰ったら電話して。ゆっくり話そう。」
「ありがとう。」
拓海の優しさが心に染みる。
嘘ってバレるんだな。兄の言った通りだ。
「時間は気にしないで。俺は、明日はまだ日曜日で休みだから。」
そう言って、電話を切った。
お兄ちゃんはどこまで気付いているんだろう。
当然だけど、拓海が怒っている。
「あの実は、今、兄の家に来てて。さっきのは兄なの。今日は姪っ子の1歳の誕生日で・・・。」
「どうして、最初からそう言わなかったの?本当にお兄さんかも分からないし。」
「ごめんなさい。でも、正真正銘、血の繋がった兄だから。」
「他に隠してる事もうない?」
拓海はまだ何かを疑っている。
「もう、ないよ。」
「さっきのデュアルレジデンスの高田さんだよね。」
「えっ。」
私は驚きすぎて、言葉が出ない。
「声で分かった。何度か電話で話したことあるし。何で今まで俺に黙ってたの?確か、大学の先輩って言ってなかった?」
「ごめんなさい、嘘を吐いてた。仕事相手が私の兄だって分かったら、拓海が気を遣うかもと思って。」
「それだけ?」
「それに、兄は私の心配が凄くて、だから・・・。」
「名字が違うのは?」
「姉が高田家の長女真美さんと結婚した時に、高田性になったの。」
「ふーん。高田さんが話の中で、時々、『莉奈』って呼ぶのが気になってた。だから、その理由が分かって、今は納得できる。俺は違う方に疑ってたし。」
「本当にごめんなさい。」
「俺達離れてるんだから、こんな些細な事でも行き違ったら、誤解を解くのに時間も掛かる。」
私は泣きそうになる。
今まで寂しさで泣きそうなのを我慢してたのに、こんな事で泣きそうになるなんて思いもしなかった。
黙ってしまった私を見て、画面の向こうで拓海は困った顔をしている。
こういう時、距離がとてももどかしい。
「莉奈、分かったから泣かないで。もう怒ってないから。今日は、姪っ子のさんの誕生日なんだろ。楽しんで。それから、今日は何時になっても、家に帰ったら電話して。ゆっくり話そう。」
「ありがとう。」
拓海の優しさが心に染みる。
嘘ってバレるんだな。兄の言った通りだ。
「時間は気にしないで。俺は、明日はまだ日曜日で休みだから。」
そう言って、電話を切った。
お兄ちゃんはどこまで気付いているんだろう。