好きになってもいいですか?
くるみの涙を見るのなら、悲しい涙や恐怖の涙ではなく、嬉し涙がいい。

そんなことをアートが考えているうちにチャイムが鳴り、アリアは教室に戻っていった。

「さて、見回りに行くか」

この時間、アリアとくるみのクラスではくるみの得意な音楽の授業をしている。くるみは歌が上手で、この前見回りの際に偶然耳にした時、アートは思わず足を止めて聴き入ってしまった。

「今日もくるみの歌が聞こえるといいな……」

そう呟き、アートは職員室を出た。



それからも、アートは想いを必死に隠してくるみと接する日々は続いた。くるみは日を重ねるごとに笑うようになり、可愛くなっていく。

「おはようございます」

朝、アートが校門前に立っているとくるみが笑顔で挨拶をしてくれる。その時、アートはいつもとくるみがどこか違うということに気付いた。

「おはよう。何かいつもと違うような……」

アートがそう言うと、アリアがくるみに抱き付き、言った。

「昨日、くるみと新しいリップグロス買いに行ったの!」
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