好きになってもいいですか？

「ありがとう。お昼にちゃんと食べるよ」

アートが嬉しくて笑いながら言うと、アリアはニヤニヤと笑い、くるみは「嬉しいです！」と笑顔を見せる。

お昼の時間を楽しみにしながら、アートは二人が校舎の中に入っていくのを見送った。

くるみたち学生が授業中、アートはいつものように校舎内を見回りをする。怪しい人物の姿はもちろんいない。学校で事件が起きるなど滅多に起こることではないだろう。

「よし、今日も異常なし」

アメリカの治安は決していいわけではない。しかし、この学校はとても安全だとアートは自信を持って言うことができる。

見回りをしたり、生徒からの相談事を聞いているうちにお昼になった。アートはわくわくしながらくるみのくれたパンを取り出す。

「すごいな。まるで、お店に売られているやつみたいだ」

アートがコーヒーを一口飲み、パンを食べようとした刹那、スマホが鳴り響いた。電話をかけてきたのは、警察署に勤務している同期からだった。

「もしもし？」