好きになってもいいですか？

アートが電話に出ると、同期は「アート、ごめん！」と謝り出す。アートは訳がわからず、「どうしたんだ？」と訊ねた。

同期には、不審者情報などを教えてもらっている。それをアートが生徒たちに教え、危ない場所へは近づかないように注意しているのだ。

「実は、覚醒剤常習犯の男を逮捕しようとしたんだけど逃げられて……。もしかしたら学校に忍び込んでしまったかもしれないんだ」

「嘘だろ！？」

アートの顔が真っ青になる。覚醒剤常習犯の人間が生徒たちにどんな危害を加えるか、想像することも恐ろしい。最悪の場合幻覚により、生徒たちを皆殺しにし始める可能性もある。

その時、生徒の一人が「アートさん！！」とパニック状態になりながら職員室に飛び込んできた。その生徒はすぐに体から力が抜けてしまい、その場に倒れ込んでしまう。

「大丈夫？」

先生数人が駆け寄るが、生徒は落ち着くことはなくますますパニックを起こす。

「どうした？何があった？」