好きになってもいいですか?
アートが訊ねると、生徒は「へ、変な男がナイフを振り回してるんだ!くるみが……くるみがそいつに捕まったんだよ!!」と怯えながら話す。

間違いなく、先程電話で聞いた覚醒剤常習犯だろう。アートは生徒にくるみが捕まった場所を聞き、走り出す。心臓が嫌な鼓動を立てていた。

「無事でいてくれ……!」

アートは同期に連絡をしながら、くるみのもとへと走った。



アートが三階にある音楽室の方まで行くと、数人の生徒が走ってきた。

「アートさん、くるみが!!」

「変な男がナイフを持ってるの!」

パニック状態になる生徒たちに対し、アートは「俺が来たからにはもう大丈夫だ」と優しく微笑む。

「みんなは、危ないから校庭に避難しなさい。くるみのことは必ず救い出す」

アートはそう言い、奥へと走っていく。するとそこには、髪がボサボサで汚らしい服を着た男がナイフを手に立っていた。その男にくるみは腕を回され、ナイフを突き付けられている。その様子をアリアが泣き出しそうな顔で見つめていた。
< 16 / 20 >

この作品をシェア

pagetop