好きになってもいいですか?
男はニヤニヤしながらくるみを見る。くるみは顔を真っ青にし、いつ意識を失ってもおかしくない状態だ。

「大切な生徒を傷付けようとするのなら、俺は誰であろうと容赦しない」

アートはそう言った後、迷わずに引き金を引く。乾いた音が響き、男は驚いていた。アートの撃った銃弾は、男の手にしていたナイフだけを弾き飛ばしたからだ。

男が驚いている隙に、アートは素早く男の腕の中からくるみを助け出す。そして、男の腕を掴んで投げ飛ばした。

「午後十二時四十八分、銃刀法違反、建造物侵入の現行犯で逮捕する」

男の手に手錠がはめられる。男を逃げられないようにしっかり拘束した後、アートはくるみの方を振り返った。くるみはアリアに抱き締められ、泣いている。その涙にアートの胸が痛んだ。

「くるみ、大丈夫……じゃないな」

アートがそう声をかけると、くるみはアートに抱き付いてくる。慌ててアートが引き離そうとすると、「離さないで!抱き締めて!」と言われた。
< 18 / 20 >

この作品をシェア

pagetop