好きになってもいいですか?
「それより、そろそろ教室に行かないと遅刻になるだろ。早く教室に行きなさい。サボるつもりなら、引きずってでも連れて行くからな」

「ええ〜?それはちょっとズルくない?一時間目から体育とか最悪って思ってたのにさ〜」

サボる気満々のアリアに、アートはため息が出そうになるのを懸命に堪える。アリアはスポーツも勉強も何でもできる優等生なのだが、サボり癖があるのだ。先生からそのことで相談されることもある。

「まあ、今日は機嫌がいいから授業にちゃんと出るけどね〜」

「何かいいことがあったのか?」

アリアは鼻歌を歌いながらスマホを取り出す。そして、スマホで撮られた写真を見せた。黒い柴犬を抱っこしているアリアと、黒髪の小柄な女の子が映っている写真だ。その女の子の無邪気な笑顔に、アートはドキッとしてしまう。

「この子、可愛いでしょ?日本にいるあたしの親友なの!名前は小川(おがわ)くるみ。今度、親の仕事の都合でここに引っ越してくるんだ。くるみと一緒に勉強できるなんて幸せ」
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