好きになってもいいですか?
また今度、彼女を紹介するわね。そう言いご機嫌な様子でアリアは校舎の中へと入っていく。

「日本人の女の子か……」

日本人と関わったことなど一度もない。アートはまだ写真で見ただけだというのに、くるみのことを気になり始めていた。

あの笑顔をこの目で見たい、そう何故か思ってしまうのだ。



それから一週間ほどが経った。放課後、校内の見回りにでも行こうかとアートが椅子から立ち上がると、「アート!」とショートパンツに白いシャツを着たアリアが嬉しそうに声をかけて近づいてくる。彼女の隣には、アリアより小柄の黒髪の女の子が恥ずかしそうに俯いていた。

「この子が前に話していたくるみよ。くるみ、この人はアート。この学校を守ってくれているの」

アリアが互いを紹介し、アートは「こんにちは」とくるみの目線に合わせて挨拶をする。くるみは俯いたままで表情は見えず、「こんにちは」と返してくれた声も、緊張からか震えていた。
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