好きになってもいいですか？
落とし物入れが置かれた職員室へ戻るまでの間、アートは沈黙のままは少し寂しいと感じたため、くるみに話しかけてみる。

「今日はアリアと一緒じゃないんだな」

「アリアは……生徒会の活動があって……」

「そうか。アリアは生徒会のメンバーだったな」

「はい」

「そういえば、今日くるみたちの学年は進路調査の提出日だったんじゃなかったっけ？」

「はい、そうです」

「くるみは何て書いたんだ？よかったら教えてほしい」

「私は……パン屋を開きたいと書きました……」

予想外の答えにアートは少し驚く。くるみの方をチラリと見ると、くるみはますます顔を赤くしていた。

「おかしい、ですよね？こんな……こんなにも……人見知りでうまく話せないのに……。自分のお店を持ちたいだなんて……」

「そんなことないと思う」

真っ赤な顔をするくるみに、アートは言った。夢を持つことは素晴らしいことで、それに他人が口を出す権利などないのだ。
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