好きになってもいいですか？
「俺も小さい頃から警察官になりたいって思っていて叶ったんだ。きっと、くるみの夢だって叶うさ。アリアから聞いたぞ。くるみの作ってくれるパンはとてもおいしいって」

「……ありがとうございます……」

緊張ではなく、照れた声にアートの胸がドキッと音を立てる。くるみの緊張していない声を聞くのが初めてで、その可愛らしい声に驚いたのだ。

その後も少し話をし、アートとくるみは落とし物入れのある職員室に到着した。アートがハリネズミのマスコットキーホルダーを箱から出すと、くるみが「私のです！」と少し大きな声で言う。そして、愛おしげにマスコットキーホルダーを手に取った。

「このキーホルダーは、私がアメリカに行く前に日本にいる友達が渡してくれたものなんです。見つかってよかった……」

「俺も持ち主が見つかってよかったよ」

アートがそう笑顔で言うと、くるみがアートの目をまっすぐに見つめる。初めて目が合った。くるみの美しい黒い瞳の中に、頬を赤く染めたアートが映っている。
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